JA 日本 機関投資家のお客様
債券

ハイイールド:潤沢な流動性の先に何があるか?

2020年7月 - 4 min レポートを読む

中央銀行による潤沢な流動性の供給は、ハイイールドを含む市場全般に対し大幅な改善をもたらしています。しかし、依然として不確実性が存在する環境下においては、資本構造上の上位に着目し、担保付資産への投資を検討することは有益であると考えます。

政策立案者は、新型コロナウイルス(COVID-19)による初期の衝撃に対抗するため、資本市場に大量の資金を投入し、その結果、ハイイールド資産は大幅に反発しました。また、中央銀行は、前例のない協調的な数多くの対策を通じて市場をサポートするという意図を明確にしました。米連邦準備制度理事会(FRB)がフォーリン・エンジェル(投資適格から非投資適格へ格下げされた債券)およびハイイールドETFの購入計画を発表した米国においては、ハイイールド債およびバンクローンは第2四半期にそれぞれ9.70%、9.71%上昇しました。欧州においても、同四半期にバンクローンおよびハイイールド債がそれぞれ12.95%、11.05%上昇するなど好調に推移しました1

図1: 米国、欧州のハイイールドとバンクローンのスプレッド

出所: BAML, Credit Suisse 2020年6月末時点
 

政策立案者による十分な資金供給は、殆どのハイイールド発行体に対して市場を開放し、COVID-19およびグローバルな都市封鎖の影響を最も直接受けたセクターも例外とはなりませんでした。たとえば、旅行やレジャー、娯楽および小売セクターにおける発行体は、その大半が斯かる資金供給にアクセスすることができ、パンデミックの収束が開始した際には、大幅な回復が期待できる状況にあると考えます。一方、経済成長および企業業績に対する不確実性が高まる中、投資家はより良好なリターンおよび発行体に対するコントロールを要求しています。その結果、カーニバル・クルーズラインやアメリカン航空などの有名企業を含む多くの発行体が、無担保債券よりも資本構造上弁済順位が高く、発行体の担保によって保護された優先担保付債券を発行しています。実際、担保付債券の発行は足元数週間において顕著に増加し、米国における発行総額の約3分の1、欧州における発行総額の約3分の2を占めています2

発行体の大半が市場にアクセスできることから、予想デフォルト率は数か月前と比較して大きく改善傾向にあります。高ボラティリティ状況下における予想デフォルト率は2桁台後半と一部では予想されましたが、足元における予想デフォルト率は大幅に低下し、主に2つのセクターにおいて集中すると考えます。一つ目のセクターとして、危機的状況下において高リスクと認識された企業が含まれます。当該企業の多くはすでにデフォルトもしくは債務再編に向かっていた可能性がありますが、COVID-19の影響によりその動きが加速したと思われます。当該企業には、J.クルーやニーマンマーカス、J.C.ペニーなど、長期的な困難に直面していた小売企業が含まれます。また、パンデミック以前に経営が改善傾向だった企業や、都市封鎖により休業を余儀なくされたセクターにおいてデフォルトが増加する可能性があります。米レンタカー大手のハーツはその典型例です。 

格下げ予想についても改善傾向にあります。格付機関はパンデミック発生の早い段階で格下げを開始しましたが、格下げペースが鈍化したため、市場全体において散見された3月および4月のテクニカルな売り圧力が一部緩和されました。COVID-19の感染拡大以来、確かにハイイールド市場へ参入したフォーリン・エンジェルの数は大きく増加し、フォードやオクシデンタル・ペトロリウムなど、約2,000億米ドルの債券が投資適格から非投資適格に格下げされました。しかしながら、ベアリングスの見解においては、FRBによる社債購入プログラムの支援により、ハイイールド市場は当該フォーリン・エンジェルを混乱なく吸収することができたと考えます。
 

今後の投資機会

依然として不確実性が存在し、さらなるボラティリティが予想される環境において、資本構造上の上位に着目し、担保付資産への投資を検討することは有益であると考えます。一般的に、優先担保付債券は、担保となる事業価値により二重に保護されています。これは、発行体が債務不履行となった際、優先担保付債券の投資家は無担保債券の投資家と比較して、債務再編時に有利な立場にあることを意味し、場合によっては企業の所有権を獲得することを通じて、長期に亘り高い回収率を達成することが可能となります。

また、一般的なハイイールド資産以外においても魅力的な投資機会が散見されます。たとえば、ローン担保証券(CLO)は、伝統的なハイイールド債券やバンクローンと比較して魅力的な上乗せ金利を獲得する機会をもたらす一方、分散および強固な構造的保護による恩恵も提供します。新興国社債もまた投資機会をもたらす可能性があります。新興国における発行体の多くは、斯かる困難な期間においても業績が底堅く、今後の逆風にも耐え得る体制にあると思われます。 

足元の市場全体を見渡した場合、殆どのハイイールド発行体は、パンデミックにおける最初のショックを乗り越えるために必要な手元流動性を有しているとみられます。しかし、今後の大きな問題の1つは、特にパンデミック終息後、世界経済の低迷に直面した場合、どの発行体が高水準となった債務の返済が可能かということです。必然的に、一部の発行体は他よりも返済が困難になると思われます。また、一部の発行体は債務再編やその他ストレスに晒された状況となるため、テクニカルな売り圧力による価格下落から、ディストレスト債券マネジャーにとっては割安な価格で資産を購入する機会となる可能性があります。当該投資においては、経験は重要であり、発行時からディストレストな状態(場合によっては訪れる)に至るまで、ライフ・サイクル全般に亘りクレジットを追跡する能力と規模を有するマネジャーを通じて投資することは有益であると思われます。 

COVID19による最悪な状況は既に脱したのか、または改善への道のりは未だに長いのか、斯かる質問に対して回答することは困難であると考えます。しかしながら、経済および市場は回復すると予想され(そのペースはまちまちではあるが)、企業のファンダメンタルズに徹底的に着目したアクティブなポートフォリオの運営は、上昇局面を捉えるために必要不可欠であると思われます。
 

1. 出所: BAML U.S. Non-Financial High Yield Index、Credit Suisse Leveraged Loan Index、Credit Suisse Western European Leveraged Loan Index、BAML European Currency Non-Financial High Yield Index 2020年6月末現在
2. 出所: S&P LCD 2020年5月末時点
 

当資料は、ベアリングスLLCが作成した資料をベアリングス・ジャパン株式会社(金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第396号、一般社団法人日本投資顧問業協会会員、一般社団法人投資信託協会会員)が翻訳したもので、金融商品取引法に基づく開示書類あるいは勧誘または販売を目的としたものではありません。翻訳には正確性を期していますが、必ずしもその完全性を担保するものではなく、 原文と翻訳の間に齟齬がある場合には原文が優先されます。当資料は、信頼できる情報源から得た情報等に基づき作成されていますが、内容の正確性あるいは完全性を保証するものではありません。また、当資料には、現在の見解および予想に基づく将来の見通しが含まれることがありますが、事前の通知なくこれらが変更されたり修正されたりすることがあります。
Complied (東京):2020年8月3日 M20203Q22

X

当社のウェブサイトBarings.comをご利用いただくことにより、(1)当社がお客様のデバイスに特定のクッキーを配置したり、利用規約およびウェブサイトのプライバシーに関する通知に記載されているその他のオンライン追跡メカニズムを使用することができること、(2) お客様が当該利用規約に了承したことにご同意していただけたものと致します。