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ストラクチャード・クレジット:リスク戦術を考える

2019年10月 - 2 min レポートを読む

2019年第3四半期の着実な案件フローを背景に、新規発行CLOのスプレッドはレンジ内で推移しました。世界的な低金利を背景に、欧州CLOに対する投資家の注目が高まっています。

ハイライト

プライマリー市場の新規発行は安定推移
CLOの新規発行は、2019年を通じて安定基調を維持しています。ただし、8月は第3四半期で唯一、前年同月比で新規発行が減少しました。当月、米国の新規発行は16件、計71億米ドルにとどまり、欧州ではプライシングが行われた新規発行はありませんでした。第3四半期のその他の期間においては、着実な案件フローを背景に、新規発行CLOのスプレッドは2019年年初来のレンジ内で推移しました。

セカンダリー市場では当四半期中に二極化が進み、強固なコラテラル・プールを有するトップクラスのマネジャー案件に投資家の買いが集まりました。この結果、セカンダリー市場におけるBBトランシェのスプレッドに大きな乖離が生じた点は注目に値します。信用力の高い有力マネジャーのCLOのディスカウント・マージン(以下、DM)が600bps台後半~700bps前半で推移したのに対し、信用力に悪化の兆しが見られる知名度の低いマネジャーのCLOのDMは700bps台半ば~800bps台前半で推移しました。

再投資期間の短い案件への需要が増大
CLO市場では、従来一般的であった再投資期間5年の案件に比べ、より短い(1~2年の)再投資期間を有する新規CLOの需要が増加しています。再投資期間の短いCLOは、従来よりもタイトなスプレッドでAAA格トランシェを発行できる可能性を高めるものであるため、マネジャーはこうした需要に前向きに対応しています。こうした低スプレッドでの取引は、ストラクチャー全体の負債コストを引き下げ、エクイティ投資家のリターン向上につながるため、CLOマネジャーのみならず、CLOのエクイティ・トランシェ保有者にも有益となります。新規発行AAA格トランシェのスプレッドは現在、5年の再投資期間を持つもので130~135bpsであるのに対し、再投資期間の短いものでは112~125bpsでプライシングされています。

米国プライマリーCLO(AAA格)の利回りカーブ:
取引年限が価格に及ぼす影響

出所: LCD、Red data points represent third quarter deal pricings 2019年8月31日現在

魅力度の高い欧州CLO
マクロ経済の逆風が市場に圧力をかけ続ける中、投資家は予想される嵐を乗り切ることができる「港」を見つけようとしています。しかし、魅力的な利回りを持つ「港」を見つけることは困難を極めつつあります。 世界的なマイナス金利の環境下において、EURIBORフロア0%という形でマイナス金利を回避する構造が内蔵された欧州CLOに対する投資家の注目が高まっています。EURIBORがさらにマイナスに沈む動きを強める中、欧州CLOのクーポンは不変であり安定した利回りを提供している一方、フロアを持たない同等のアセットクラスは下落を続けています。安定した利回りに対する高水準の需要を背景に、欧州CLOのシニア・トランシェの新規発行スプレッドはタイト化しています。こうしたスプレッドのタイト化を受け、欧州CLO市場ではリファイナンスやリセットが増加する可能性があります。 

見通し

  • 新規発行CLOのスプレッドは2019年末に向け、資本構造上の位置によらず、概ねレンジ内での推移になるものと見込まれます。投資家は引き続き、グローバル成長や貿易摩擦などのマクロ経済リスクと、ポートフォリオの投資先企業にかかる個別リスクの双方を懸念していますが、CLOデット・トランシェのオールイン・イールドは他のアセットクラスとの比較において引き続き魅力的な水準にあります。 
  • CLOエクイティのアービトラージが困難になった結果としてCLOの発行計画が抑制されている点は、スプレッドの下支え要因になるものとみられます。 
  • 投資先企業のリスクが相対的に低い新規発行CLOに対する投資家の選好を考慮すると、より最近において話題を集めた投資先企業に対し大きなエクスポージャーを有する、ビンテージの古いメザニン・トランシェの価格は引き続き弱含む可能性があります。
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