分散化への対応:2026年の不動産戦略
2026年のグローバル不動産市場では、アクティブな選択と緻密な分析が不可欠です。本ラウンドテーブルでは、米国、欧州およびアジア太平洋地域に在籍するベアリングスとアルテミスの運用プロフェッショナルが、セクター動向に関する知見を共有し、各地域におけるリスクおよび投資機会を探ります。
グローバル不動産市場のファンダメンタルズは、マクロトレンドやセクター変化によってどう変わるのでしょうか?
ナシル・アラムギル:銀行セクターの貸し出しの減少により、米国と欧州の双方における不動産金融構造は引き続き再構築されています。両地域で銀行は依然として商業用不動産ローンの大部分を保有していますが、2022年末以降、融資は厳格化し、ノンバンクによる貸し出しの余地が生じています。特に米国市場で顕著になっている重要なトレンドは、マチュリティウォールの増大です。2025年初の初期予測では約5,700億米ドルのローン満期が見込まれていましたが、2024年以降約4,000億米ドルが繰り越されたため、総額は現在1兆米ドルに迫ると予想されています。問題を抱えているローンは銀行のバランスシートに残っているため、段階的な評価損の計上により解決にはさらに2~4年を要する可能性があります。銀行の融資基準が厳しくなっている中で、特に地域銀行やコミュニティバンクではその傾向が顕著となっており、クレジット投資家は投資機会を見出しています。現在は、市場全体の状況改善が個々に波及する環境ではなく、銘柄選択型の市場となっており、ミクロ市場の分析と各投資案件に明確な根拠が求められています。
ニック・ピンク:欧州の観点では、継続しているマクロ経済および政治的課題により活動は予想以上に抑制された状態が続いているものの、勢いは増してきています。昨年と比較すると市場は健全化しており、慎重な楽観論は年を通じて現実主義へと進化し、買い手と売り手の双方が様子見ではなく行動を起こすケースが増加しています。不動産市場のファンダメンタルズは供給サイドを筆頭に引き続き堅調で、セクター全体における実質賃料価値の伸びを支えています。サイクルは延長される見込みですが、ファンダメンタルズに着目し、適切な資産を選別する投資家には依然として好機があります。市場への参加はまだ遅くありません。これは世代を超える循環的な投資機会であり、資本は再び市場に戻り始めています。
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