パブリック債券

ハイイールド:今後数ヶ月間における4つの検討事項

2022年9月 – 6 分 レポートを読む

ハイイールドは、今年、数々の困難に直面しましたが、ハイイールド債券およびバンクローン双方には従来とは異なる価値が存在すると見ています。

このような背景から、ハイイールド投資家が今後数ヶ月にわたって検討すべき重要な点を4つ挙げたいと思います。

1. 盤石なハイイールド発行体

高いインフレ率やタカ派的な中央銀行、景気後退懸念、地政学的紛争の激化など、昨今の市場が直面するリスクは多岐にわたっており、すぐに解決されるとは思われません。金利上昇が経済全般に波及し、それに伴って需要が減少する中、ハイイールド債券の発行体はどのように対処し、企業収益にどの程度影響を与えるのか、疑問が残ります。

ポジティブなニュースとしては、多くの企業の財務体質は、新型コロナウイルス感染拡大以降、拡大前よりも堅固であるということです。同ウイルス感染拡大後、多くのハイイールドの発行体企業は、それまでの健全な資本市場を通じて債務の借り換えを行い、借入金利の削減と償還の延長を行いました。多くの場合、キャッシュフローは2019年の水準もしくはそれを上回っており、その結果、多くの企業がインフレ圧力を販売価格に転嫁することが可能となり、記録的な利益を獲得しました。強固なファンダメンタルズに下支えされ、1,000bps超のスプレッドを有すディストレスト水準で取引される債券の割合は約7%に留まり、特に過去の市場のストレス期に比べ比較的抑制されています¹。これは、短期的にデフォルトが大幅に増加する可能性が低いことを示唆しています。

また、ポジティブな面として、ネガティブなセンチメントに直面しながらも、2022年末から2023年にかけての業績見通しが、一部の市場参加者の予想以上に持続性を有することが挙げられます。その理由の一つには、売上高とEBITDAが名目米ドル建てで推計されているため、名目成長率が依然として高い水準にあることが挙げられます。従って、厳しい経済状況に直面しても、企業収益はこれまでの景気後退期以上に持ちこたえることが可能となるかもしれません

また、株式とは異なり、ハイイールドは高い経済成長率に影響を受けません。むしろ、最も重要なのは、発行体の債務残高に応じた借入金利の支払い力です。ベアリングスでは、ハイイールドの発行体企業は、強固な財務基盤やコントロール可能なデフォルト見通し、潜在的に持続可能な収益力を兼ね備えており、将来にわたって債務を履行することが可能な状況にあると見ています。

1. 出所: Bank of America 2022年8月末現在

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Scott Roth(スコット・ロス)、CFA

米国ハイイールド共同責任者

Adrienne Butler(アドリエンヌ・バトラー)

グローバルCLO責任者

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