ベアリングスの「5つのインサイト 2025年秋」
ベアリングスの「5つのインサイト 2025年秋」について、先進国ソブリン債券チームの溜 学(たまる まなぶ)が解説します。
- 開放小国に金利低下余地:大国発の不確実性が小国を直撃
- 財政リスクの警戒継続:財政拡張は構造問題
- 北欧通貨に妙味:財政優良国の安全性を評価
- 日本化する中国:世界を悩ますデフレ輸出
- したたかな日銀:金利も為替も慎重に正常化
1月のトランプ米政権の発足から9ヶ月余りが経過し、同政権がもたらす不確実性への市場反応もこなれてきた感があります。市場のトランプ米政権への「慣れ」が浸透するに従い、下方リスクへの過度の警戒が解除されていく格好で世界的に株価は上昇し、雇用関連指標の低迷を懸念した米連邦準備制度理事会(FRB)は9月に利下げを再開しました。FRBの利下げは先行きの悪化を未然に防ぐ保険的な利下げと位置付けられており、今後、本格的な利下げの道を辿ることになるかはデータ次第とされています。
一方、トランプ米政権との対立構造が鮮明化する中国では、政府による消費支援策の効果が息切れし始め、構造的な不動産不況の景気下押し圧力から、5%の成長目標達成への懸念が台頭しています。成長目標達成ありきの輸出主導の動きがデフレの輸出になることへの周辺国の警戒は、依然として根強いものがあります。
日本では、食品価格上昇や根強い円安を背景に、賃金が物価上昇に追いつくのに時間を要している状況です。海外発の不確実性への極度の悲観の後退や「慣れ」から、本邦株式市場も高値を更新しています。新政権への期待は高まりますが、国内需要の力強さに欠ける状況では米中発の不確実性に翻弄される事態は継続するものと予想されます。
2025年秋のベアリングスの5つのインサイトでは、このような将来見通しの楽観と悲観が交錯するグローバル経済において有効な投資戦略を洗い出し、グローバル債券投資戦略の5つの柱をお示しいたします。