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2025年6月 ベアリングス・グローバル・マクロシナリオ

2025年6月 – 6 分 レポートを読む

ベアリングス・ジャパンでは、世界経済の中長期的な景気循環や構造変化を捉え、今後1年から1年半程度の時間軸で想定されるいくつかの経済シナリオを洗い出し、運用戦略の点検を複眼的な視野から行っております。今回、マクロシナリオの見直しを行いましたので、以下の通りご案内いたします。

1.  2025年6月時点のベアリングス・グローバル・マクロシナリオと、今回のシナリオ策定の着眼点

今回の4つのシナリオは、前回の「トランプスランプ」「ソフトランディング」「財政バズーカ」「スタグフレーション」を維持しました。

トランプ政権下における米国の政策運営は、米国例外主義崩壊への懸念を高めるだけでなく、基軸通貨としての米ドルの信認さえも揺るがしかねない状況を招いています。加えて、関税措置の発動は輸出入や消費等の前倒しを引き起こし、実体経済の把握を困難にしています。また、物価や企業収益に対する関税の影響を見極める局面に差し掛かる中、中東情勢の緊迫化という新たな地政学的リスクが浮上し、市場の不確実性は一段と高まっています。こうした状況下において、各国中央銀行が慎重姿勢を強めることで政策判断が遅れ、景気下振れリスクが増幅する懸念は拭えません。「トランプスランプ」は国際秩序への混乱が広がる中で、企業の投資や家計消費が冷え込み、景気後退色が強まるシナリオです。また、「財政バズーカ」では、地政学的リスクや自国第一主義が高まる中で米国の安全保障への関与が低下し、欧州を筆頭に軍事費拡大を中心に各国が財政拡張を加速させるとともに、米国では財源なき減税が実施された場合、景気が刺激され、財政悪化懸念が高まる展開を想定します。一方、関税引き上げや移民流入制限によりコストプッシュインフレが再燃するとともに自国第一主義の蔓延により世界経済の縮小均衡を招いた結果、景気後退と物価上昇が同時進行する「スタグフレーション」シナリオを念頭に置く必要性は残されています。もっとも、日本を除き、世界的に中央銀行の金融政策が利下げ局面にある中で、金融引き締め効果が低減され、雇用市場の減速や緩やかな需要の減退によってインフレ懸念を鎮静化することができれば、景気の「ソフトランディング」が実現する可能性も残ります。

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溜 学(たまる まなぶ)、CFA

先進国ソブリン債券チーム、リード・ポートフォリオ・マネジャー

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