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新興国債券:ハードカレンシー建て債券に注目

2019年10月 - 3 min レポートを読む

2019年第3四半期の新興国債券のパフォーマンスは抑制された水準となりましたが、バリュエーションは引き続き魅力的であり、新興国経済は一定ペースで成長を続けています。ベアリングスでは、金利低下期待から恩恵を受けるハードカレンシー建て資産を引き続き選好しています。

ハイライト

困難な状況下で底堅い動き
新興国市場全体で数多くの地政学的リスクが発生する中、2019年第3四半期の新興国債券の各アセットクラスのパフォーマンスは抑制された水準となりました。社債が+1.55%、ソブリン債が+1.39%となるなど、ハードカレンシー建てのアセットクラスのリターンはプラスとなりました。新興国通貨が全体で3.72%下落した影響から現地通貨建て債券のリターンは-0.62%となりました。ハードカレンシー建てのアセットクラスと現地通貨建て債券の金利部分は、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)のハト派的な姿勢を背景とした米国債利回りの急低下に下支えされました。

アルゼンチンの動向に左右された市場
米中貿易摩擦の激化やグローバル貿易の伸び率低下に加え、サウジアラビアの石油関連施設の攻撃にもかかわらず原油価格が当四半期に8.7%下落したことなどが現地通貨建て新興国債券の下落要因となりました。新興国通貨は強弱まちまちの展開となりました。トルコ・リラやタイ・バーツは上昇した一方、それ以外のベンチマーク組み入れ通貨はアルゼンチンやブラジルを中心に下落しました。特に、政府が債務の返済期限延長計画を表明したアルゼンチンが下落を先導しました。アルゼンチンは、マウリシオ・マクリ現大統領がアルベルト・フェルナンデス元首相に大差で敗北した大統領選挙の予備選挙(PASO)や、前大統領のクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル上院議員に対する市場の反応を背景に、テクニカル・デフォルトに陥りました。この結果に敏感に反応したアルゼンチン・ペソは、当四半期に26%下落しました。

米連邦準備制度理事会(FRB)に追随する新興国
国際通貨基金(IMF)発表の第2四半期経済データによると、グローバルの経済成長率は2%と2016年第3四半期以降最も低い水準となりました。インフレ率はグローバルで2%、新興国で3.8%となりました。中国の循環的な景気減速や米中貿易摩擦の継続を背景に、グローバル貿易の伸び率は-4.9%と2016年第1四半期以降最も低い水準となりました。FRBによる利下げに追随し、中国(預金準備率を0.5%引き下げ)や、韓国、ロシア、タイおよびメキシコ(0.25%引き下げ)、インド(0.35%引き下げ)など複数の国で当四半期に利下げが実施されました。

見通し

一般的に、新興国債券に対しポジティブな見通しを維持しています。バリュエーションは引き続き魅力的であり、新興国は一定ペースで成長を続けています。しかしながら、継続する米中貿易交渉や、ペルシャ湾の緊張増大、通貨や金利、債券価格にみられる市場の大変動など、長期化するリスク要因にも引き続き留意しています。

  • 投資機会: ベアリングスでは、引き続きハードカレンシー建て資産を選好しています。現在の環境下では、金利の低下期待や健全な経済成長から恩恵を受けるソブリン債や社債の魅力度が引き続き最も高いとみています。各国政府は、景気刺激策を行いつつも、財政再建プログラムを継続的に実践しているため、現地通貨建て債券の金利水準も引き続き魅力的であると考えます。地域別では、リスク・リターンの観点から中南米地域が引き続き最も魅力的な投資機会を提供しています。また、一部東欧諸国のハイイールド企業が発行するハードカレンシー建て債券にも投資価値を見出しています。全体として、コモディティ価格や主要国金利、先進国市場の成長率が上下に振れやすい環境下、将来の不確実性に適応し得る柔軟性を有する国に注目します。
  • インデックスの先の投資機会: 新興国市場全体において、伝統的なインデックスの先に投資のチャンスがあると考えています。例えば、ソブリン債では、アルバニアやマケドニアなど現在インデックス構成国でない国に投資機会を見出しています。一方で、たとえインデックス構成国であっても、魅力的なリスク・リターン特性を有していないと考える国に対しては、エクスポージャーをゼロとしています。例えば、湾岸協力会議(GCC)加盟国の政治的リスクは現在市場で低く見積もられていると考え、これらの地域には実質的にエクスポージャーを取らず、インデックス対比で大幅なアンダーウェイトとしています。
  • リスク: 2019年末までの主要なリスクは引き続き、米国の貿易政策とそれがグローバル貿易に与える潜在的影響、および緊張状態にある中東情勢であると考えます。中央銀行のハト派転換や今後予定されている米中貿易交渉にもかかわらず、現時点では新興国通貨全般を押し上げる強力なカタリストは見当たりません。新興諸国は自国通貨を、ショックの緩衝剤や、景気浮揚を目的としたグローバルな輸出競争力の強化手段として利用する場合があることに加え、金利低下が通貨に及ぼす影響を考慮すると、通貨選択には慎重な判断が必要とされます。
  • 選別性: 新興国市場の状況は2018年12月以降著しく改善しており、中央銀行のハト派的な姿勢も支援要因となるため、新興国市場に対する楽観的姿勢を維持しています。ただし、最近のレポートでも述べた通り、厳格なボトムアップ分析や銘柄選択、アクティブ運用、リスク軽減が最も重要であることは言うまでもありません。

グローバルのインフレ率と貿易伸び率は数年来の低水準出所: Bloomberg Professional、Haver、Barings 2019年6月30日現在

マイナス・イールドの負債が増加出所: Barings LLC、IIF、Bloomberg Professional 2019年6月30日現在

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