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新興国債券:現地通貨建て債券に好機到来か?

2020年1月 - 3 min レポートを読む

現地通貨建て新興国債券がアウトパフォームする地合いが醸成されつつあります。

新興国債券のパフォーマンスは、第4四半期、および2019年を通じて堅調に推移しました。通常、現地通貨建て債券よりもやや低リスクと見なされるハードカレンシー建てソブリン債が年間を通じて最も好調なパフォーマンスを記録したことは驚くに値しません。当該アセットクラスはまた、その長めのデュレーション故、年間を通じた金利低下から恩恵を受けました。

2019年末に向け、このトレンドは反転し始めました。特に信用リスクが過度に織り込まれているブラジルなどハードカレンシー建てソブリン債のユニバースに魅力的な機会が依然として存在する一方で、その他の分野に魅力的なバリュエーションを有する投資対象が出現しました。

2019年第4四半期のサブアセットクラス毎のパフォーマンスを見ると、現地通貨建て債券が5.2%と、ソブリン債の1.81%、社債の2.2%を上回りました¹。これにはいくつかの要因が考えられます。世界金融危機の後、世界経済が大がかりなデレバレッジを行った結果、新興国を初めとするリスク性資産からの資金が流出しました。このような資金流出への反省から、新興国全体の経常赤字はその後縮小傾向にあります。この結果、新興国の資金需要は直近10年で減少し、足元のバランスシートはより健全な状態となっています。新興国が直面した逆風は新興国通貨にも打撃を与え、交易条件対比の実質実効為替レートは足元、過去10年で最も安い水準に接近しています。

新興国通貨は過去10年で最も割安な水準へ
(実質実効為替レート/交易条件)

出所: Haver Analytics 2019年9月末現在

これらの要因は、過去10年にわたるリスク回避傾向が2020年に反転する可能性を示唆しており、新興国通貨がアウトパフォームし、現地通貨建て債券のリターンに寄与する可能性があります。

投資魅力を維持しているもう1つの分野は新興国社債です。新興国社債は、過去10年間でシャープ・レシオが最も高い主要なアセットクラスの1つです。ファンダメンタルズは引き続き安定しており、近年数多くの企業が売上高とEBITDAのプラス成長を達成しています。バランスシートは引き続き健全で、デフォルト率は低位を維持しています。

さらに掘り下げると、ショート・デュレーションの非投資適格社債の魅力度が極めて高いと思われます。2020年にグローバルの経済状況が改善すれば、その金利感応度の低さがプラスに作用する可能性があります。過去数年の間に複数の非投資適格国において様々な固有のリスクが発生したことから、社債のスプレッドは相対的に堅調なファンダメンタルズにもかかわらず、多くのケースにおいて拡大しました。新興国における投資適格社債と非投資適格社債間のクレジット・スプレッド格差も、ここ数年の平均に比して高水準にとどまっており、非投資適格社債が依然として相対的な投資価値を提供していることを示唆しています。

新興国社債:非投資適格債は引き続き投資適格債に対して割安な水準

出所:Bloomberg 2019年12月末現在

このように市場には投資機会が存在していますが、それに付随するリスクにも留意することが重要です。2020年の見通し(The Road Ahead)でも述べた通り、今後1年間において投資家が直面している最大のリスクは、中国における深刻な景気減速、もしくは景気後退の可能性であると考えています。これは極度に可能性の低いシナリオとみられるものの、もし発生した場合には、グローバル経済全体に連鎖的なマイナスの影響が及ぶ可能性があります。

もう一つの懸念材料は中東情勢です。特に、同地域が世界エネルギー供給量の約30%、世界貿易航路の約20%、世界GDPの約4%を占めている点を考慮すると、ステップを誤ればきわめて深刻な状態に発展する可能性があります。ESG関連の懸念も大きい点を考え合わせると、同地域の地政学的リスクは過小評価されていると考えます。

最近においては米中貿易交渉の基本合意がなされましたが、この先も2020年を通じて市場は様々なヘッドライン・ニュースに直面することになるでしょう。政治不安や市民の暴動に悩まされる新興国が日々増加しています。チリやコロンビア、エクアドル、香港など至るところで暴動が起きています。ベネズエラやレバノン、アルゼンチンなどは様々な政治的リスクに直面しており、これらの国々では緊張が高まるに伴い債券価格が急落しています。2019年第4四半期においては実に9ヶ国がデフォルトまたは債券価格の急落に見舞われ、これは過去10年で最多となりました。

これらの要因がすべてリスクであることは間違いなく、国およびクレジット分析において考慮する必要があります。しかし、同時にこれらは投資機会ともなり得ます。

社債発行企業が所在国の格付けに準じて不当に評価されている場合、またはネガティブなヘッドライン・ニュースを受け一国の通貨が過剰反応している場合、アクティブ・マネジャーおよび投資家にはチャンスがもたらされます。同様に、ソブリン債券においては国の選択が非常に重要です。新興国には、投資に適さない国と、投資魅力度の高い国が玉石混交に存在しているためです。

このように、3つの主要サブアセットクラス全てにおいて足元投資価値が見出されており、今後も引き続き価値機会は示現するでしょう。しかし、現在は「市場全体を買う」時期ではありません。むしろ、マクロ、国および企業固有のリスクを慎重に分析し、投資機会が生じた際に迅速に行動を取れるよう備えておくことが重要です。

1. 出所: J.P. Morgan 2019年12月末現在

Complied(東京):2020年1月28日 M20201Q17

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