JA 日本 機関投資家のお客様

LIBORの公表停止について

銀行間調達金利指標(IBORs)から代替金利指標への移行


IBOR移行に関する最新情報およびよくあるご質問(FAQ)

2012年以降、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)などのベンチマーク操作の事例が報告されています。ベンチマークとして使用されるインデックスの正確性および完全性の欠如もしくはそれに対する疑念は、市場の信頼を損ない、消費者および投資家に損失をもたらし、実体経済を歪める可能性があります。そのため、世界の規制当局は、LIBORや欧州銀行間取引金利(EURIBOR)などの銀行間調達金利(IBOR)への依存から脱却し、ベンチマークおよびその決定プロセスに対する正確性、頑健性および完全性を保証することを決定しました。

膨大な数の金融商品の価格および契約は、LIBORおよびEURIBORなど、銀行間調達金利の正確性および完全性に依存しています。2019年、米ドルLIBORは、名目ベースで合計約350兆米ドルにのぼる銀行、資産運用会社、保険会社および非金融会社における契約の裏付けとなりました。金融業界はまた、投資ファンドのパフォーマンス測定、ポートフォリオ資産配分の決定、パフォーマンス・フィーの計算および市場全体の機能が円滑であることを示すため、当該ベンチマークに依存しています。

銀行間調達金利(IBOR)の改革
LIBORにおける弱点は、レートを呈示するリファレンス・バンク(パネル行)が、実際の銀行間預金市場取引のレートではなく取引の見積もりを要求されたことです。これは、パネル行のガバナンスが弱いことと相まって、重大な操作を可能にしました。金利指標に関するグローバルな改革においては、実際の取引に基づく呈示、その取引記録の保持および一定時間後にパネル行から呈示されたレートを発表する点に重きが置かれ、金利指標の操作に対しては刑事制裁が導入されます。斯かる改革は2014年に始まり、完全または部分的に実際の取引データに基づく金利指標を導入し、記録保持要件および操作に対する刑事制裁も導入されました。

金利指標改革の大部分が完了した後、当局およびその担当者は、現在の銀行間調達金利から新しい金利指標(米国ではSOFR、EUではSTR、英国ではSONIAおよび日本ではTIBORと呼ばれます)への円滑かつ確実な移行に焦点を移し、その一例として、金融機関が積極的にLIBORの公表停止に備えていることを確認しています。斯かるグローバルな取り組みは、LIBORの監督を任された英国の規制当局である金融行動監視機構(FCA)が、2021年末以降にパネル行に対してレート呈示を強制する権限を行使しないと発表し、現在の金利指標の事実上の段階的な廃止を示唆した際に加速しました。

円滑かつ確実な移行
円滑かつ確実な移行を実行するため、当局および担当者は、数十万件の契約における参照指標の変更、LIBORを参照した新規契約の締結、リスク管理およびシステム対応の更新時に発生する各種潜在的なリスク(経済、法務、事務および評判等の観点から)に対して取り組んできました。

銀行が新規契約において引き続きLIBORを参照する場合、LIBOR廃止後も円滑に機能するためには、参照指標の切り替えについて言及した明確なフォールバック条項が必要となります。既存契約の更新によってフォールバック条項を含める、もしくは契約自体を新たな参照指標に修正する場合、斯かる金融商品は現行の会計基準に基づき、再評価が必要となる可能性があります。斯かる契約内容の修正によって生じた資産および負債の再評価または再分類は、銀行の財務諸表に多様な影響を与える可能性があります。また、カウンターパーティによって法的措置が取られる可能性もあります。

代替金利指標はLIBORと異なる数値となるため、斯かる金利指標の変更はバイサイドにも影響を及ぼし、再評価およびキャッシュフローの調整を要するトリガーとなります。LIBOR関連商品のエクスポージャーの大きさを考慮した場合、代替金利指標との差異が数ベーシス・ポイントであった場合においても、契約の価値に大きな影響を与える可能性があります。また、内部評価モデルについても、代替金利指標に基づき再調整される必要があります。資産運用会社については、LIBORが使用される箇所を確認し、秩序立った方法によって評価変更に関する対応策を決定していく必要があります。代替金利指標を盛り込んだ契約の「切り替え」は、資産運用会社にとって多くの作業量を要し、投資一任契約(IMA)および他のファンドに関する契約書においても、ベンチマークとしてLIBORを参照するケースが多く見られます。

契約の修正のみならず、資産運用会社および銀行は、リスク管理のフレームワークを調整する必要があります。内部リスクモデルはLIBORを利用しているため、斯かる金利指標が廃止された場合、モデルの修正を行う必要があると考えます。

ヘッジもまた、リスク管理プロセスにおいて影響を受ける領域となります。スワップおよびフォワード等、いくつかの一般的なヘッジ手段には現在、LIBORを参照している変動レグがあります。LIBORの公表停止により、代替ヘッジ手段の調達可能性および流動性に対し疑問が生じ、ヘッジ戦略が機能しない可能性があります。

移行リスク
代替金利指標を参照する金融商品が完全に機能する市場を実現するため、斯かる商品における市場流動性および需要は現在の比較的低い水準から成長する必要があります。米国においては、米ドルLIBORから担保付翌日物調達金利(SOFR)への円滑な移行を支援するため、米連邦準備制度理事会およびニューヨーク連邦準備銀行によって招集されたプライベート市場参加者グループである代替参照金利委員会(ARRC)が斯かる課題に着目しています。欧州中央銀行、イングランド銀行および両行が議長を務めるプライベート市場参加者グループは、米国と同様の方向に進んでいますが、既に確立された金利指標と慣行を離れ、費用負担が大きい指標の再構築に乗り出すインセンティブはARRCと比較して異なる可能性があります。2021年末に想定されるシナリオとして、LIBORの公表が停止し、斯かる指標を参照する現在投資可能な金融商品における市場の流動性が、枯渇する可能性が考えられます。

LIBOR参照商品において、同指標の廃止を現契約がどの程度十分に考慮していたかを把握することが今後の課題となります。当局および担当者は、法律、規制および経済上の問題が、金融機関のバランスシート上にある既存契約の広範囲に影響を及ぼさないため、明確なフォールバック条項が必要であることを認識しています。しかし、フォールバック条項がどの程度現契約に含まれ、またカウンターパーティがどの程度斯かる条項を認識しているかについては、未だ明確ではありません。

よくあるご質問(FAQ)


ベアリングスはLIBOR移行のためにどのような準備をしていますか?
投資における大規模な足がかり(特にハイイールドおよびプライベート・デット市場における)およびローン・マーケット・アソシエーション(LMA)やローン・シンジケーション・アンド・トレーディング・アソシエーション(LSTA)などの業界団体との協働を通じ、ベアリングスはLIBORの廃止と移行が投資およびポートフォリオに与える影響度を十分に分析しています。秩序立った移行に際し、ベアリングスは十分な体制を整えていると考えます。

ベアリングスは、市場および規制動向の監視並びに顧客および我々の事業運営に対する金利指標改革の影響を評価することを目的として、2018年第4四半期にLIBOR移行運営委員会を設置しました。運営委員会は、投資、オペレーション、営業、法務およびリスク管理部門の責任者によって構成され、グローバル・アセット・サービス部門責任者およびエグゼクティブ・リーダーシップ・チームによって監督されています。

2019年、ベアリングスはLIBORから代替金利指標への移行において発生し得る全ての経済的リスクおよびその他のリスクを、特定、測定、監視および管理するための移行計画を策定しました。当該計画は、移行前に計画および実行すべき一連の作業およびリソースを特定します。市場の発展に伴い継続的なレビューが実施され、計画段階から専門的な情報の提供および実行段階へと前進するにつれ、当該計画は改良されます。

規制および業界におけるワーキング・グループとの密接な連携に加えて、顧客および事業運営全般に亘る金利指標移行の影響に関する詳細な分析により、ベアリングスは特定の金融商品およびポートフォリオの移行時期に関する見解を示すことが可能となります。2020年末から2021年初にかけては、より詳細な議論が行われると予想され、斯かる議論には、新たなリスクフリー・レートの適切な計算方法(LIBORおよびEURIBORに代わるターム物金利の決定)、既存の資産における適切な移行メカニズムの合意および新たなリスクフリー・レートを参照する商品の十分な流動性の確保等、市場が現在取り組んでいる問題が含まれる予定です。

市場において新たなターム物金利に関する算出方法が合意され次第、ベアリングスは斯かる変更の実行以前に、金融商品の代替ベンチマークを提案し、顧客および販売会社と協働します。 斯かる手続きには、IMAの修正、規制当局への通知および投資家へのコミュニケーションの管理が含まれます。
 

市場で予想される代替金利指標はありますか?ベアリングスは代替金利指標への移行による影響をどう分析および評価していますか?
LIBORの代替となるリスクフリー・レートについては、世界の主要地域における中央銀行および規制当局によって以下の通り提案されています。

  • 米ドル:代替参照金利委員会(ARRC)は、新たなリスクフリー・レートとして、翌日物の米国債レポ金利に基づく担保付翌日物調達金利(SOFR)を特定しました。SOFR先物取引およびSOFRを参照するオーバーナイト・インデックス・スワップは、2018年末に取引開始しました。
  • 英ポンド:イングランド銀行および金融行動監視機構(FCA)は、新たなリスクフリー・レートとして、2007年に確立された無担保翌日物の英ポンド金利に基づく英ポンド翌日物平均金利の改訂版(SONIA)を特定しました。現在、SONIAを参照するスワップ市場が存在し、英ポンド・オーバーナイト・インデックス・スワップの代替リスクフリー・レートとして使用されています。
  • ユーロ:欧州中央銀行(ECB)は、新たなリスクフリー・レートとして、2019年10月に取引を開始したユーロ短期金利(ESTER)を特定しました。当該金利は、無担保マネー・マーケット市場における取引について、ECBがユーロ圏にある52の大手銀行から収集したデータに基づきます。

斯かる代替金利指標への移行は規制当局ではなくマーケットによる主導であるため、提案された新たな代替金利指標が管轄域内における全市場において完全に採用される、または特定の資産クラスにおいて他の競合する新たな代替金利指標が出現する可能性については、現在のところ不明です。

ベアリングスはサードパーティと協働し、各契約に内包されるリスクを分類するため、保有する各資産の契約に基づき、新たな代替金利指標を分析するための詳細な調査を完了しています。
 

契約にフォールバック条項が含まれていない資産を保有するファンドはありますか?
近年においては、LIBORが廃止された際の代替金利指標を定めた、フォールバック条項を契約において記載することが標準的な慣行となっています。LIBOR廃止をカバーする特定の条項が導入される以前においても、何らかの理由によりLIBORが利用できない場合を想定し、殆どのクレジット契約においては、ベース金利もしくはプライム・レートへの切り替えに関する条項が包含されていました。

ベアリングスは顧客の代理として、各資産におけるフォールバック条項を特定するため、主要通貨において保有する全資産の契約に関し、徹底的なレビューを実施している過程にあります。斯かるレビューにより、特定の金融商品およびポートフォリオの移行方法に関し、投資チームに対して見解が示されます。斯かる議論はまた、適切な流動性を持つ新規の金融商品および市場の発展に関連しています。LIBORの移行には、1)各金融商品における既存のフォールバック条項、2)既存商品の移行に関するソリューションを見出す業界の進展、および3)適切な流動性を有する代替金融商品の市場発展、を考慮し、バランスを持った判断が求められると思われます。

フォールバック条項が存在しない契約については、関連する投資チームが個別資産毎に適切な対応策について判断します。
 

ローンの場合、フォールバック条項が記載されていない既存契約の修正プロセスは誰が主導しますか?
一般的に、フォールバック条項においては、管理代理人(エージェント)と債務者双方が新たな参照金利について合意する必要があるため、通常、管理代理人と債務者が修正プロセスを主導します。債権者の合意を要する、または債権者が反対する権利を有する場合もあります。
 

影響を受けるファンドにおいて、LIBOR関連エクスポージャーを適切に管理するため、ベアリングスはどのような対応をしていますか?
ベアリングスは、影響を受ける分野を特定するため、顧客に代わり保有する関連資産において、全ての契約のレビューを実行し、斯かるレビューは2020年第2四半期末に完了する予定です。

代替参照金利委員会(ARRC)¹は、2019年に変動利付債、シンジケート・ローン、証券化商品および住宅ローン等の資産クラスにおいて、フォールバック条項に関する推奨文言を公表しました。ベアリングスは、移行前におけるリスクを積極的に削減することを目的として、斯かる文言を新規契約に適用してきました。

ベアリングスは、特定の資産クラスの契約において参照するベンチマークと斯かるエクスポージャーをヘッジするためのデリバティブ商品が参照するベンチマークにおいて、その潜在的な不一致への対応に関する市場の一貫した取り組みの進展に着目しています。

株式ポートフォリオにおけるLIBOR関連エクスポージャーは、他の資産クラスと比較して限定的であると思われる一方、ベアリングスは、顧客に代わり保有する株式資産についても、全ての契約のレビューを行います。

1.  ARRCは、LIBORからの円滑な移行を支援することを目的として、米連邦準備制度理事会およびニューヨーク連邦準備銀行によって召集されたプライベート市場参加者のグループです。

X

当社のウェブサイトBarings.comをご利用いただくことにより、(1)当社がお客様のデバイスに特定のクッキーを配置したり、利用規約およびウェブサイトのプライバシーに関する通知に記載されているその他のオンライン追跡メカニズムを使用することができること、(2) お客様が当該利用規約に了承したことにご同意していただけたものと致します。