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投資適格社債:金利低下、スプレッド縮小、しかしリスクも残る

2020年1月 - 3 min レポートを読む

2019年、投資適格社債市場は非常に良好なパフォーマンスを記録しました。このような環境は今後も継続可能なのでしょうか?

金利低下、クレジット・スプレッド縮小、そして投資家の利回り追求姿勢継続を背景に、2019年の投資適格社債は米国を中心に堅調なリターンを記録しました。2020年も様々な要因が市場を下支えするとみられる一方で、疑問点も残っています。

引き続き、米連邦準備制度理事会(FRB)の動向が市場の最大の関心事となっています。FRBは、2019年に3回の利下げを行った後、10月に短期間の緩和サイクルを終了させたことで、差し迫った景気後退懸念が行き過ぎであったとの安心感を市場に想起させました。債券市場では、昨年1年を通じ複数回逆イールドとなった後、国債利回りが全年限に亘って上昇するとともにイールドカーブがスティープニングするなどの反応を示し、景気後退懸念を払拭しました。

「リスクオン」へのセンチメント移行により投資適格社債が最大の恩恵を受けたことは驚くに値しませんが、当該アセットクラスは2019年のほぼ全期間に亘る金利低下からも恩恵を享受しました。しかし、良好なパフォーマンスを受け、現在の価格水準でもまだ投資価値が存在するかどうかについては疑問が残ります。ブルームバーグ・バークレイズ米国社債インデックスのスプレッドは93bpsで2019年を終えました。このスプレッド水準は、当該インデックスがよりデュレーションが短く高格付の銘柄で構成されていた時期に記録した、これまでで最もタイトなスプレッド水準からそれほど乖離していません。とはいえ、当該アセットクラスへの資金流入は引き続き堅調であり、特に海外投資家の米国社債に対する利回り追求姿勢に衰える兆候は見られません。魅力的な為替ヘッジコストもサポート要因となっています。

米国のクレジット・スプレッドはこれまでで最もタイトな水準に接近

出所: Bloomberg Barclays 2019年12月末現在

2020年に目を向けると、投資適格セグメントでは、従来の社債インデックスに含まれないアセットクラスに最良の投資機会が幾つか存在すると考えます。例えば、投資適格のローン担保証券(CLO)は特に投資妙味が大きいと考えています。当該アセットクラスは、より魅力的なスプレッド獲得の可能性に加え、資本構造上の保護、個別のクレジット・リスクの分散などのメリットを投資家に提供します。例えば、2019年末のBBB格CLOのスプレッドは376 bpsと、B格の非投資適格社債のスプレッド324bpsを大きく上回っています。このように、CLO市場へのアクセスはクレジット・リスクの分散のみならず、投資適格セグメントにおける魅力的なスプレッドの獲得の手段をも提供します。

同様に、資産担保証券(ABS)も、足元の投資適格セグメントにおいて、最も魅力的な投資機会を提供しています。ABSのユニバースは幅・深さともに拡大を続けており、学生ローンやビジネス・フランチャイズ、商業用航空機など幅広い分野に投資機会が存在しています。ABSは、堅調な雇用と賃金の上昇を背景に力強さを維持し、経済を支える原動力となり続けている米国の個人消費に対する投資手段ともなります。ABSはCLOと同様、スプレッド向上の可能性や個別のクレジット・リスクの分散などのメリットを投資家に提供します。この点は、経済およびクレジット・サイクルの後期においては特に魅力的です。また、2019年のABSの大量発行を受け、安定したファンダメンタルズにもかかわらず、様々な消費関連ABSのスプレッドが拡大している点も注目に値します。2020年の新規発行ABSへの魅力的なエントリーポイントが提供されているものと考えます。

2020年の社債市場にとっても、FRBの動向が確実に最大の牽引役の1つとなるものと思われます。少なくとも現時点においては金融緩和は完了したとの見方が優勢ですが、FRBのバランスシートが大幅に膨らんでいるため、市場参加者の中には現状は実質的にQE4(量的緩和第4弾)なのではないかと疑問視する向きもあります。さらに、2019年流動性危機以降のレポ市場の不透明要素拡大も問題視されています。FRBが2019年末に流動性を注入することによりこの問題が本当に解決したのか、それとも単なる応急処置であったのかは不透明です。2020年に新たなテクニカル面でのリスクが発生する可能性もあります。

最後に、2020年を展望すると、前述したバリュエーションの問題に加え、米国大統領選挙や米中貿易戦争、中東の緊張、ブレグジットなどの地政学リスクなどを中心にリスクが山積しています。しかし、投資適格アセットクラス全体における銘柄選択やアロケーション管理の経験則からは、過剰な地政学関連のヘッドライン・ニュースに対する行き過ぎた反応が有益な投資機会をもたらすと考えることは道理にかなっています。重要なのは、投資機会が出現した時にこれを捕捉し、収益につなげるために十分に機敏でいることです。そして、前述の通り、最良の投資機会の一部は従来の社債インデックスに含まれないアセットクラスに存在する可能性が非常に高いと考えています。

Complied(東京):2020年1月28日 M20201Q17

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