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投資適格社債:銘柄リストのアップグレード

2020年10月 - 4 min レポートを読む

リスク要因が多数存在する中で、社債クオリティおよび流動性を向上させることにより、恩恵が齎される可能性があります。

投資適格社債の場合、クオリティが今後のテーマになると思料されます。市場は第2四半期から第3四半期の多くの期間にわたり良好なパフォーマンスを維持した一方、第3四半期末にボラティリティが再び上昇しました。

新型コロナウイルス(以下、同ウイルス)に敏感なセクターが引き続き大きな困難に直面しているにもかかわらず、投資適格社債は第3四半期に1.54%のリターンを獲得しました1。多くの銘柄にとって、市場のテクニカル要因は引き続き下支え材料となりました。投資適格社債と証券化市場の双方で新規発行が急増した一方、長期にわたる低金利環境下において利回りを追及した投資家による堅調な需要が見られ、スプレッドは概ね安定的に推移しました。

9月後半の数週間のボラティリティは、今後数ヶ月もしくは1年の間に発生する可能性がある、多くの未解決の問題があることを思い出す良いリマインダーとして役立ちます。このうち、特に負債水準の上昇やインタレスト・カバレッジ・レシオの低下が見られる中で、多くの投資家にとって企業ファンダメンタルズは最大の関心事です。不確実な経済環境下で負債を増加させることにリスクは伴いますが、投資適格企業の負債におけるネットとグロスの差が拡大していることからも明らかなように、これらの企業が調達している負債の多くの部分はバランスシート上での現金比率の補強に活用されています(図1)。

短期的には、企業は将来的に流動性の問題が生じた場合に、いくつかの選択肢を取りうる柔軟性を有していることが示唆されます。しかし、長期的には企業の債務返済方法は投資家にとって非常に重要であり、企業に依る場合もあります。例えば、今年初めに企業が大量の債券を発行したことで、負債EBITDA比率は上昇しました。現在、多くの企業が流動性の観点から非常に強固だと見受けられるにもかかわらず、最終的にはバランスシート上の余剰現金をどう利用するのか(あるいは利用しなければならないか)は、企業収益や経済成長に大きく影響されると思料されます。例えば、オンライン小売業者は、旅行・レジャービジネスとは大きく異なる良好な状況を迎えるかもしれません。
 

図1:EBITDAの12ヵ月成長、トータル負債およびネット負債

出所: J.P. Morgan  2020年6月末現在


テクニカルおよびファンダメンタル面以外に、今後数ヶ月の間に市場に影響を及ぼす可能性のある多くの外的要因が存在します。同ウイルスの第2波の可能性からワクチンの時期に至るまで、まだ多くの疑問が残ります。市場は、ワクチン接種がすぐにでも可能となるとの想定で行動しているようであり、それ故に想定されたことが起こらないことが、もう一つの今後の潜在的なリスクと思料されます。     

米大統領選挙も1つのリスク要因です。結局のところ市場は不確実性を好まず、選挙に関するヘッドラインは短期的には市場の変動性に影響を及ぼすと思料されます。一方で2016年の選挙時には、市場参加者の多くはトランプ氏が勝利した場合の市場急落を予想していましたが、実際には市場が非常に穏やかに反応し、短期的には下落したものの、その後に上昇に転じたことは注目に値します。長期的には、税制や企業政策、外交政策の変更が齎す潜在的な影響はあまり明確ではありません。

米大統領選挙に関連して、米国の景気刺激策においても不透明感が漂っています。市場参加者の多くが、第3四半期にさらなる景気刺激策を期待していたものの、実際には追加の政策は打ち出されませんでした。その期待感は現在も日々変化しているようですが、この財政政策の遅れは第3四半期末におけるボラティリティの上昇につながり、第4四半期もこの状態が継続する可能性があります。

特にインフレ目標を中心とした金融政策も、足元では疑問を呈しています。8月のジャクソンホール会議後、米連邦準備制度理事会(FRB)は平均インフレ率を2%とする新たな政策転換を発表しました。これは、インフレ率の上昇を暫くの間容認することを示唆しています。これが最終的にどのように機能するか、過去6ヶ月間の金融政策支援が実際にインフレの起爆剤となるかどうかは不透明ですが、今後の市場にとって含蓄に富む事象となると思料されます。
 

投資案件のクオリティ向上

今年残りの数ヶ月において投資機会は確かに生じると思われますが、ダウンサイドへの耐性も鍵となります。前述の要因が市場の変動リスクを誘発する恐れがあり、3月に見られたような流動性を主因とした市場の暴落は予想されないものの、各資産におけるスプレッドの拡大が顕在化する可能性があります。そのため、投資適格社債市場全般については、エクスポージャーにおける信用力および流動性の両面の観点を向上させるメリットがあると考えられます。

FRBが資本市場を下支えするために何でもやる意思を明確にしてきたことを考えると、投資適格社債には魅力があると思料されます。また、証券化の分野での投資機会を模索し続けています。例えば、資産担保証券(ABS)では、米連邦家族教育ローン・プログラム(FFELP)の学生ローンなどの高格付けの市場セグメントは、航空や自動車などの同ウイルスに晒されている業界と比較して、依然として魅力があると思料されます。倉庫やデータセンターなどを担保にした、高格付け商業不動産担保証券(CMBS)も魅力的な価値を提供するとみています。

エマージング債券、特にハードカレンシー建て社債は、足元において魅力があると思料されるもう1つの分野です。この分野の発行体の多くは、グローバルに事業を展開する堅調な企業です。パンデミック初期のショックからの回復は先進国市場と比較して遅れているものの、多くの企業は多額の現金保有や限定的な資本支出などの規律を保ち、非常に堅調な状態で同危機が発生しました。しかしながら、やはり銘柄選択の重要性は強調しきれません。  

現時点では、経済はかなり持ち直していると思われます。しかし、これまでのところ景気回復は一様ではなく、今後も強弱混在した状態が続くとみられます。ヘッドラインにより今後数ヶ月は安定しない状況が続く可能性が非常に高いため、個別銘柄選定をより一層重視したアプローチを採用し、足元のイベントを乗り越えるとともに、今後の困難を切り抜けるために十分な資質を兼ね備えた質の高い企業を特定することは、これまでと同様に非常に重要です。

1. 出所: Bloomberg Barclays U.S. Corporate Index 2020年9月末現在

当資料は、ベアリングスLLCが作成した資料をベアリングス・ジャパン株式会社(金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第396号、一般社団法人日本投資顧問業協会会員、一般社団法人投資信託協会会員)が翻訳したもので、金融商品取引法に基づく開示書類あるいは勧誘または販売を目的としたものではありません。翻訳には正確性を期していますが、必ずしもその完全性を担保するものではなく、 原文と翻訳の間に齟齬がある場合には原文が優先されます。当資料は、信頼できる情報源から得た情報等に基づき作成されていますが、内容の正確性あるいは完全性を保証するものではありません。また、当資料には、現在の見解および予想に基づく将来の見通しが含まれることがありますが、事前の通知なくこれらが変更されたり修正されたりすることがあります。
Complied (東京):2020年10月27日 M20204Q11

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