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新興国債券:更なる投資余地はあるか?

2020年7月 - 3 min レポートを読む

2020年4-6月期の新興国債券は大幅に上昇しました。リスクは依然として残るものの、同資産クラスは継続的な金融緩和および年後半における景気の急回復への期待感から恩恵を受ける可能性があります。

新興国債券は、2020年1-3月期に過去最大に匹敵する急落を見せた後、4-6月期は堅調に回復しましたが、その程度は資産クラスよって異なりました。中央銀行による流動性供給に対し、まず金利が反応し、次に投資適格社債、ハイイールドと続きました。新興国通貨は、商品価格との高相関により出遅れましたが、今四半期はプラスのパフォーマンスとなりました。 

  • 新興国社債は、3月のボラティリティ上昇時に拡大したスプレッドの約60〜65%回復しました(投資適格社債は60%、ハイイールド社債は65%)。
  • 投資適格のハードカレンシー建てソブリン債券は、約75〜80%回復した一方、ハイイールドは約40〜50%の回復に留まりました。
  • 金利は基本的に完全に回復しましたが、新興国通貨は25〜30%の回復にとどまりました。

新興国債券の年初来パフォーマンス

出所: J.P. Morgan 2020年6月末現在
 

テレコム・メディア・テクノロジー(TMT)や公益事業などのディフェンシブ・セクターがこの不安定な期間に特に好調だったため、新興国社債は堅調に推移しました。一方、石油・ガスや金属・鉱業、輸送などの景気敏感セクターは大打撃を受けたものの、3月以降は回復に転じました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大やロックダウンなどが再び生じた場合、同セクターの中には更なる困難に直面する可能性があるものもあります。とはいえ、業界の特定セグメントは比較的回復力があります。たとえば、輸送セクターは、航空および空港が直接的な影響を受けた一方で、有料道路やガス・パイプラインなどは好調に推移しました。 

企業のデフォルトに関しても、3か月前よりも明るい兆しが見えます。当初、市場は企業のデフォルト率が10%に近付くと予測しましたが、政府によるサポートを背景に多くの企業がこの混乱時の危機において最悪の状況を回避するだろうと思われるため、足元のデフォルトは予想よりも低い水準となっています。足元の同資産クラス全体では、ハイイールド部分に特に価値を見出しています。スプレッドは3月に1,000ベーシスポイント(bps)以上に拡大した後、約700 bpsまで縮小しましたが、急落前の水準(460 bps)と比較すると依然として拡大しているため、さらに縮小する可能性があります。

ハードカレンシー建て新興国債券と新興国社債のスプレッド(投資適格vsハイイールド)

出所: J.P. Morgan 2020年6月末現在
 

ソブリン債に関しては、ユニバースを構成する多数のソブリン債における回復状況はまちまちです。コロンビア、インドネシア、メキシコといった投資適格国、および投資適格の社内格付を有するブラジルにおいて、引き続き価値を見出しています。ブラジルは、新型コロナウイルスの深刻な感染拡大や政治的スキャンダル、過去18ヵ月間で海外投資のほぼ15%が流出する事態に至るまで、数多くの困難に直面しています1。とはいえ、財政および金融政策の枠組みは非常に堅固であり、大統領の弾劾などのシナリオが発生した場合でも耐え得るよう設定されています。

さらに低位の格付けをみると、アルメニア、パラグアイ、ベラルーシ、マケドニア、エルサルバドルは相対的に魅力があると考えています。アルゼンチン、レバノン、ザンビア、ベネズエラなど、より困窮している国はあまりポジティブではありません。また、魅力的なスプレッドで取引されていると思われるチュニジアやパキスタンなど、多国間の資金調達を必要とする特定の非投資適格国についても検討しており、債務の支払い能力およびその可能性を引き続き評価しています。 

当然ながら、中国は今後も新興国経済見通しの主軸であり、小売売上高や不動産販売、鉱工業生産、鉄鋼生産など、モニターしている経済指標はすべて力強い回復を示しています。経済活動再開時には、製造業は瞬時に約80〜90%の回復をみせました2。また、小売の消費は遅れており、3月および4月は2桁の落ち込みを見せましたが、5月はわずか2.8%の減少となるなど、減少幅は大幅に回復しました3。インドと中国の関税の動向については常にモニターしていますが、これまでのところ、両国の資産価格には実質的な影響はありません。 

世界貿易はあまりポジティブではありません。各国がますます鎖国化し、自国内の商品およびサービスへの依存度が高まるだろうとみています。この傾向は新型コロナウイルスの感染が拡大する中、新興国にとって長期的に構造的な逆風となる可能性があります。 

政府と中央銀行が十分な流動性を供給し、資産価格を下支えするなど、テクニカル面で市場を牽引し続けています。近い将来、この状況が転換するのか、するとしたらいつなのかは不明です。足元では、米国やブラジル、その他において新型コロナウイルスに関するネガティブな見出しが示しているように、懸念材料が市場に回帰している可能性があると思われます。また、世界的な回復には、アップサイドとダウンサイド両方にリスクがあります。しかし、全体としては、金融刺激策が継続していることや、年後半に景気が急回復する可能性があることから、多くの新興国に追い風が吹く可能性があると考えています。
 

1. 出所: Deutsche Bank 2020年5月19日現在
2. 出所: Bloomberg 2020年3月末現在
3. 出所: Bloomberg 2020年3月末現在
 

当資料は、ベアリングスLLCが作成した資料をベアリングス・ジャパン株式会社(金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第396号、一般社団法人日本投資顧問業協会会員、一般社団法人投資信託協会会員)が翻訳したもので、金融商品取引法に基づく開示書類あるいは勧誘または販売を目的としたものではありません。翻訳には正確性を期していますが、必ずしもその完全性を担保するものではなく、 原文と翻訳の間に齟齬がある場合には原文が優先されます。当資料は、信頼できる情報源から得た情報等に基づき作成されていますが、内容の正確性あるいは完全性を保証するものではありません。また、当資料には、現在の見解および予想に基づく将来の見通しが含まれることがありますが、事前の通知なくこれらが変更されたり修正されたりすることがあります。
Complied (東京):2020年8月3日 M20203Q22

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