JA 日本
債券

新興国債券:警戒的楽観姿勢を維持

2019年7月 - 3 min レポートを読む

新興国債券は第2四半期、中央銀行による景気刺激策の実施や緩和的な金融環境を受けて、現地通貨建て債券を中心に好調なパフォーマンスを記録しました。

ハイライト

堅調な滑り出し:2019年第2四半期の新興国債券の各アセットクラスは堅調なリターンを記録しました。現地通貨建て債券のリターンは+5.6%(債券要因が+4.1%、為替要因が+1.5%)となり、続いてハードカレンシー建て債券が+4.1%、社債が+3.5%となりました。米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)の金融緩和的な姿勢を背景に、米国10年国債利回りは今四半期さらに40bps(年初来では67bps)低下し、トランプ氏が米大統領選に勝利した2016年12月の水準まで低下しています。金融政策見通しのハト派転換は対外債務(を抱える新興国)に対する強気姿勢を生み出しました。新興国全体のインフレ率が低成長のもと抑制されるなか、中央銀行が景気刺激対策の実施を継続したことが現地通貨建て債券の上昇要因となりました。新興国通貨は、コモディティ価格の下落にもかかわらず、財政の安定性向上や政情の改善、消費者信頼感の上昇を背景に、ロシア・ルーブルやタイ・バーツ、チェコ・コルナ、アルゼンチン・ペソを中心に今四半期堅調に推移しました。投資家は、新興国に関するニュースに注視し続けています。特にトルコでは、3月の統一地方選挙に続き6月の再投票でもエルドアン大統領率いる与党が敗れました。米中貿易戦争は、20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)において一時休戦となりました。また、G20サミットでは、ロシアとサウジアラビアが、石油の需要減退に伴い2020年までの石油輸出国機構(OPEC)の減産継続に合意しました。

マネタリーコンディションは緩和:今四半期、FRBは金利水準を安定推移させましたが、今後あらゆる選択肢を検討する考えを示唆しました。市場は前向きに反応し、米国10年国債利回りは2.01%まで低下しました。ロシアやチリ、インド、チェコ共和国など多くの新興国に加え、オーストラリアやニュージーランド、ノルウェーなどの先進国も利下げを実施しました。中国では継続的な景気刺激策の一環として、預金準備率の引き下げが決定され、金融機関は不動産や企業向けの貸出を増やすことができるようになりました。世界的な経済成長減速懸念の中、コモディティ価格は今四半期下落しました。中東情勢の緊迫化にもかかわらず、ブレント原油は2.69%、銅は7.58%下落しました。 一方、金は今四半期9.1%上昇し、2013年以来の高値に達しました。

見通し

全体として、新興国債券のバリュエーションは魅力的な水準にあり、引き続きスプレッドがデフォルトリスクを十分に織り込んだ水準にあることから、新興国債券全般に対して建設的な見通しを維持しています。通常、中央銀行がハト派的な政策を取る時期には、新興国債券市場は堅調に推移します。さらに、欧州の成長は鈍化しているものの、新興国全体の経済成長を減速させるような先進国経済の腰折れは見られていません。しかしながら、継続中の米中貿易交渉やペルシャ湾におけるイランとの緊張の高まり、金利動向、通貨変動など、リスク要因も根強く残っています。

  • ハードカレンンシー建て債券に最も投資妙味:ハードカレンシー建て債券および社債は金利低下期待や健全な経済成長から最も恩恵を受けることから、ハードカレンシー建て債券に対する選好を継続します。しかし、現地通貨建て債券についても、各国政府が景気刺激策を継続しており、引き続き投資魅力度が高いと考えます。地域別では、中南米地域にリスク/リターンの観点から魅力的な投資機会が最も多いとみていますが、一部東欧地域のハイイールド企業が発行するハードカレンシー建て債券にも投資価値を見出しています。全体として、コモディティ価格や主要国金利、先進国市場の成長の動向に適応する柔軟性を有する、健全かつ十分に管理されたバランスシートを有する国々を選好します。
  • 依然として残るリスク要因:特に米国の対中貿易赤字が拡大を続ける中、米国の貿易政策とそれがグローバル貿易に与える潜在的な影響などが年内の主要なリスクになると考えます。ハト派的な立場をとる中央銀行や米中貿易戦争の一時休戦にもかかわらず、現時点では通貨全般を押し上げる強力なカタリストは見当たりません。新興諸国は自国通貨を、ショックの緩衝剤や、景気浮揚を目的としたグローバルな輸出競争力の強化手段として利用する場合があるため、通貨選択についてはこれまで以上に慎重な判断の重要性が増しています。
  • 引き続き選別が重要:新興国市場の状況は2018年12月以降著しく改善しており、現在では一部楽観的となれる材料も多くあります。 しかし、リスクは依然として残っているため、2019年後半を見据え、厳格なボトムアップによる銘柄選択とアクティブ運用に徹することがパフォーマンスの大きな差別化要因になると考えます。

 

新興国 vs 先進国の成長率とインフレ率出所:国際通貨基金(IMF)World Economic Outlook Database(2019年4月)

X

当社のウェブサイトBarings.comをご利用いただくことにより、(1)当社がお客様のデバイスに特定のクッキーを配置したり、利用規約およびウェブサイトのプライバシーに関する通知に記載されているその他のオンライン追跡メカニズムを使用することができること、(2) お客様が当該利用規約に了承したことにご同意していただけたものと致します。