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CLO:慎重な楽観主義

2021年1月 - 3 min レポートを読む

CLOにとって2020年は激動の1年となりましたが、今後、経済がその回復基調を維持し金利が上昇する局面においては、魅力的な資産であると考えます。

ローン担保債券(CLO)は、近年記録した最大の下落を経て、その後大きく反発し、年末には年初の水準近辺まで取引水準が回復しました。

CLOは新型コロナウイルス感染拡大の初期に40%程度下落しましたが、その後年末にかけて反発し、AAA格、AA格およびA格の2020年におけるパフォーマンスはそれぞれ2.54%、2.97%、4.64%となりました。また、BBB格、BB格およびB格もそれぞれ5.47%、8.04%、6.22%と年を通じてプラスのパフォーマンスとなりました1。第4四半期のスタートは低調となったものの、ワクチンに関するニュースが支援材料となり、同ウイルスの感染拡大に関する懸念が払拭され、投資家のリスク選好が強まりました。案件全体における負債のスプレッドは同ウイルス発生後最もタイトな水準となりました。
 

図1: JPM CLOインデックス 各トランシェの価格推移

出所: J.P. Morgan CLOインデックス 2020年12月末現在
 

ファンダメンタルおよびテクニカル面は改善傾向

ファンダメンタル面においては確実に改善している状況にあります。例えば、裏付資産となるバンクローンの格下げはほぼ停止し、そのペースは一部の市場参加者が予想していた深刻さとは程遠いものでした。デフォルト率についても、新型コロナウイルス感染拡大の初期に予想された2桁台の水準から大きく低下し、今後12ヶ月においては3-5%の水準に留まると予想されています。CLOは、その堅固な構造および厚い信用補完により、特に高格付トランシェにおいては上記のデフォルト水準に対して十分な耐性があると考えます。今後、資本構造の下位にあたるBBB格もしくはBB格トランシェにおいても、その元本が棄損する水準までデフォルト率は上昇しないと見ています。 

テクニカル面についても依然として改善傾向にあります。需給動向は引き続き好調な状態にあり、増加した新規発行は市場において十分に吸収され、特に利回りを追求する機関投資家からの需要が強いAAA格トランシェにおいては、その傾向が顕著でした。また、投資家は第4四半期開始来、ボラティリティの上昇を予想し、スプレッドがより拡大した投資機会を捉えるためのキャッシュを積み増してきました。しかしながら、ワクチン関連のニュースが依然として市場を下支えし、予想されたボラティリティは未だ完全な形で実現していません。同時に、多くの投資家は四半期毎に利息収入を受け取ることから、投資家の抱える余剰キャッシュは増加傾向にあると思われます。
 

金利

今後、同ウイルス感染拡大および政治的論争などの短期的なリスクが存在するものの、経済再開への道筋はより明確になると思われます。このような環境下においては、一方向に金利が動く可能性が高く、すなわち、ポジティブな成長見通しに基づき、今後12~24ヶ月間において金利は低下するよりも上昇する可能性が高いと予想されます。金利上昇局面においては、デュレーションが短いもしくは金利リスクが低い変動金利商品であるバンクローンおよびCLOなどの資産へ投資することが有効です。その結果、変動金利商品の価格は、一部の固定金利商品と比較して金利上昇局面においてより安定的に推移する傾向にあり、ボラティリティを抑制することが可能です。 

一方、短期的には、低金利環境によってCLOエクイティに対する投資機会は魅力的なものとなっています。金利は少なくとも直近までゼロ近辺にとどまっていたため、ゼロ金利環境下においては投資家が最低限のリターンを獲得することを保証するため、LIBORフロアを備えたバンクローンの新規発行が増加しました。裏付資産の多くがLIBORフロアを備える一方、参照金利の水準が低くCLOの負債コストが歴史的にタイトな水準にあることから、資産および負債間における期待利回りの格差拡大は、エクイティ・トランシェが受け取る配当額に還元されます。このような状況は、特に格下げおよびデフォルトが改善する局面においては、エクイティ・トランシェへの投資にとって追い風になると考えます。
 

銘柄選択は重要

CLO市場の堅調なパフォーマンスおよびポジティブな投資環境を受けて、現在のバリュエーションは昨年対比で若干割高な水準にあると見ています。一方、今日の低利回りおよび長期的な低金利環境においては、同市場は他の資産対比で魅力的な利回りを提供するため、引き続き需要は強いと予想しています。しかしながら、今後アルファを獲得するためには、銘柄選択およびCLOマネジャーの選別が引き続き最も重要になると考えます。 

低リスクと思料されるAAA格およびAA格トランシェについては、資本構造最上位に位置するため、引き続き投資妙味が残るものの、CLOマネジャー間のスプレッドにおいて大きな格差が生じる場合があります。一例として、AA格トランシェにおいては、強固な第2級のCLOマネジャーが発行する新規案件は第1級のCLOマネジャーと比較して魅力的なスプレッドを提供してきました。また、再投資期間が長期(5年)の案件においても、潜在的な投資機会が一部存在すると見ています。資本構造下部においては、投資期間中にボラティリティが高まる可能性を考慮し、BBB格の新規案件に対して投資妙味を見出しています。BB格については、新規案件および流通市場における高クオリティ案件に対して選別的に投資機会を見出していますが、スプレッドが大幅に縮小し、新規案件の発行時におけるディスカウントは事実上消滅しています。そのため、前述のテクニカル面および投資家の抱える余剰キャッシュが増加していることを考慮した場合、今後より魅力的な購入時期が訪れる可能性があると見ています。

ワクチンに関連したポジティブなニュースとネガティブなニュース(同ウイルスの感染拡大および政治的緊張の高まりなど)が混在する中、ボラティリティの上昇により相対価値に基づく投資機会を投資家に提供する可能性があると見ています。しかしながら、回復には長い道のりを要するため、適切な投資機会を選択し不要なリスクを回避する観点において、ボトムアップに基づく慎重な銘柄選択およびCLOマネジャーの選別は重要になると考えます。
 

1. 出所: J.P. Morgan CLOIE Index 202012月末現在

当資料は、ベアリングスLLCが作成した資料をベアリングス・ジャパン株式会社(金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第396号、一般社団法人日本投資顧問業協会会員、一般社団法人投資信託協会会員)が翻訳したもので、金融商品取引法に基づく開示書類あるいは勧誘または販売を目的としたものではありません。翻訳には正確性を期していますが、必ずしもその完全性を担保するものではなく、 原文と翻訳の間に齟齬がある場合には原文が優先されます。当資料は、信頼できる情報源から得た情報等に基づき作成されていますが、内容の正確性あるいは完全性を保証するものではありません。また、当資料には、現在の見解および予想に基づく将来の見通しが含まれることがありますが、事前の通知なくこれらが変更されたり修正されたりすることがあります。Complied (東京):2021年1月28日 M20211Q19

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