2023年見通し:パブリック & プライベート・クレジット

2022年12月 – 5 分 レポートを読む

当ラウンドテーブル・ディスカッションでは、パブリックおよびプライベートのクレジット市場に対峙しているベアリングスの投資プロフェッショナルが、今日の厳しい状況をどのように乗り越え、どの分野において堅調なリスク調整後リターンの獲得が可能かについて議論します。

ジョナサン・ボック スコット、ハイイールド社債に関して、今日の市場におけるバリュエーションは、デフォルトおよびクレジット・ロスの急増を織り込んでいるのでしょうか。

スコット・ロス: ファンダメンタルズ面では明らかに逆風となっていますが、デフォルト増加の可能性は、市場が現在織り込んでいる水準よりはるかに低いと思われます。例えば、直近数週間、レバレッジド・ローン市場のインプライド・デフォルト率は6%前後で推移していますが、この水準は悪いニュースが数多く織り込まれていることを示唆しています¹。デフォルトは今後増加する可能性が高いものの、複数の理由により最終的には3%近辺の水準に落ち着くと思われます。

2020年の資本市場の再開後、債券およびバンクローン市場では過去最高と推計される1兆米ドル超のリファイナンスが実行されました²。この結果、社債の満期スケジュールは管理可能な水準となり、今後2年間に満期を迎えるのは市場の約8%にとどまる見込みです。さらに、市場のクオリティは足元10年間で著しく向上し、特に債券市場で顕著となっています。例えば、グローバル・ハイイールド社債市場において、BB格の割合は、2007年の38%から現在53%に上昇しています。また、B格は、同期間中に36%に低下しています。欧州のハイイールド社債市場では、70%近くをBB格が占めており、CCC格はわずか5%と米国よりもさらに高いクオリティを誇っています³。

興味深いことに、欧州市場のクオリティがより高いにもかかわらず、マクロリスクが大きいことから、欧州では米国に比べてスプレッドが約100bps拡大した水準で取引されています。両市場間の利回りのばらつきも足元では最も大きく、米国債券市場の利回りは約9%、米ドルヘッジした欧州市場の利回りは約11%となっています。このため、米国企業が発行するユーロ建て債券、いわゆるリバース・ヤンキー債に興味深い投資機会が生じています。グローバル企業の米ドル建て債券を売却し、より拡大したスプレッド水準および米ドルの為替ヘッジ・プレミアムも含めた高い利回りで同発行体のユーロ建てもしくは英ポンド建て債券を購入する機会が生まれています。また、欧州市場における価格は米国と比べて大きくディスカウントされた水準となっており、デュレーションも1年程度短いことから、今後のトータルリターンの可能性という点でも興味深いものがあります。

1. ベアリングスの市場観測に基づく
2. 出所:Pitchbook LCD 2022年10月末現在
3. 出所:Bank of America 2022年10月末現在

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Scott Roth(スコット・ロス)、CFA

米国ハイイールド共同責任者

Omotunde Lawal(オモチュンデ・ラワル)、CFA

新興国社債責任者

Stuart Mathieson(スチュアート・マティソン)

投資責任者、キャピタル・ソリューションズ

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